令和2年7月豪雨球磨川水害伝承記

後代に残す記録

被害の概要

2.河川被害

(1)国管理区間

今次の豪雨では、多良木、一武、人吉、渡、大野、萩原の6地点における水位観測所で氾濫危険水位を超過しました。球磨川本川の34箇所で河川からの氾濫による溢水が発生しました。

球磨川本川の氾濫等発生状況

月日 時間 被害状況
7月4日 5:55 球磨郡球磨村大字渡地先(右岸)付近で氾濫発生
7月4日 7:50 八代市西鎌瀬地先(左岸)、八代市合志野(左岸)、八代市小崎辻地先(右岸)、葦北郡芦北町白石地先(左岸)、葦北郡芦北町漆口地先(左岸)、人吉市上青井町(右岸)、球磨郡球磨村一勝地(左岸)で氾濫発生
7月4日 15:20 人吉市中神町(右岸)付近で堤防の決壊を発見
7月4日 17:45 氾濫注意情報解除
7月8日 14:00 球磨川水系球磨川(左岸55k000付近)で新たに堤防の決壊を発見
国土交通省 梅雨前線に伴う九州地方整備局の取り組み

球磨川本川における氾濫状況

内閣府 令和2年7月豪雨による被害状況等について(令和3年1月7日14:00現在)

河川管理施設の被害は、主に球磨川本川の川辺川合流点より下流で発生しており、人吉市内の堤防決壊2箇所をはじめ、堤防損傷10箇所、護岸損傷17箇所、排水施設3箇所、排水機場1箇所等の全36箇所で被害が確認されています。

河川管理施設の被災状況

①護岸被災(八代市坂本町西部地先)

②護岸被災(八代市坂本町坂本地先)

③護岸被災(八代市坂本町中津道地先)

④護岸被災(球磨村一勝地地先)

⑤堤防被災(球磨村渡地先)

⑥堤防被災(人吉市下薩摩瀬地先)

(2) 県管理区間

県が管理する球磨川水系の河川は82河川、434kmになりますが、令和2年8月19日現在で判明している河川被害は53河川の299箇所、被害額は106億円にのぼります。

河川溢水による被害の状況

河川 市町村 原因 被害状況
浸水家屋数(約戸) 家屋損壊数(約戸) 田畑等浸水(約ha)
小川 球磨村 溢水 5 5
川内川 球磨村 溢水 24   18.5
中園川 球磨村 溢水 4 13.1
庄本川 球磨村 溢水 9 3
芋川 球磨村 溢水 22 3.9
川辺川 相良村 溢水 床上111 床下38 全壊6 半壊10 130
市之俣川 八代市 溢水 2 1
万江川 山江村 溢水 床下5   1.8
内閣府 令和2年7月豪雨による被害状況等について(令和3年1月7日14:00現在)

特に、球磨川本川の水位上昇により支川の水位も上昇し、万江川と本川が合流する人吉市街部などでは大規模な浸水被害が発生しました。万江川の兼用護岸の一部欠損などにより溢水し、家屋や田畑に被害がおよびました。

①万江川・兼用護岸一部欠損

②万江川・側方浸食

③万江川(本川合流部)の浸水状況

④馬氷川・護岸一部欠損

⑤山田川・特殊堤決壊

⑥胸川・護岸一部欠損

また、川内川や吉尾川などでは河道埋塞やそれに伴う流路変更、掘り込み区間の側方侵食や護岸の一部欠損なども発生し、中流部の支川での被害が球磨川流域における河川被害全体の4割を占めています。

①市之俣川・河道埋塞

②吉尾川・河道埋塞、流路変更

③吉尾川・護岸一部欠損

④川内川・河道埋塞

⑤川内川(本川合流部)・浸水

⑥小川・堤防一部欠損

さらに、川辺川両岸の低地部分では、河道から越水・溢水氾濫をしながら洪水が流下したため永江地区など川沿いの主な集落が浸水し、約130ha、約170戸に被害が発生しました。

施設被害については、熊本県管理区間の施設である護岸の一部にも欠損が確認されました。

①川辺川・護岸一部欠損

②川辺川(永江地区)

③川辺川(永江地区)

④梶原川・護岸一部欠損

⑤川辺川・護岸一部欠損

⑥川辺川(上川下地区)