令和2年7月豪雨球磨川水害伝承記

後代に残す記録

災害対応

2.応急対応(河川、道路、砂防、港湾)

(1) 河川

緊急排水

人吉市の浸水箇所では、7月4日22:00頃から排水ポンプ車を設置し、緊急排水作業を実施しました。球磨村の浸水箇所でも7月6日に同様の緊急排水作業を実施するなど、9月1日まで排水ポンプ車を活用した水防活動が続きました。

人吉市(7月4日23:00頃)

今村第2樋管での排水作業

球磨村渡地区の浸水箇所

排水作業

排水ポンプ車出動及び水防活動状況

河川 市町村 地点 左右岸 施設名 排水P車出動状況 水防活動状況
KP 出動数(台)
球磨川 球磨村 52k630 右岸 舟戸排水施設地先 1 7月4日→9月1日
52k970 右岸 渡排水施設地先 3
53k950 右岸 今村排水施設地先 2
人吉市 56k340 右岸 八久保排水樋管地先 1
57k915 右岸 出水川排水樋管地先 2
61k330 右岸 九日町排水機場 4
あさぎり市 79k040 左岸 伊賀川排水樋管地先 1

被災状況調査

東北・中部・近畿・中国・四国の5整備局から集まった広域TEC-FORCEの河川班、計35班が現地で河川の被災調査を行いました。

中部TECの活動状況(7月8日:熊本県五木村)

東北TECの活動状況(7月13日:熊本県錦町)

中園川(球磨村)の現地調査状況

中国TECの活動状況(7月18日:熊本県山江村)

四国TECの活動状況(7月20日:熊本県球磨村)

あさぎり町での現地調査状況

また、九州TEC-FORCE河川班は、県管理河川を中心に被災状況の調査を行いました。

庄本川調査(球磨村一勝地地区)

庄本川調査(球磨村一勝地地区)

那良川調査(球磨村三ケ浦)

市之俣川調査(八代市坂本町中津道地区)

(2) 道路

被災状況調査

北海道開発局・沖縄総合事務局及び全国6整備局から集まった広域TEC-FORCEの道路班、計64班が現地で道路の被災状況を調査しました。

球磨村一勝地地区

球磨村一勝地地区

球磨村三ケ浦

県道272号球磨田浦線(球磨村神瀬地区)

また、九州TEC-FORCE道路班は、特に被害が大きかった国道219号で広域TEC-FORCEとも協力し、1日最大14班54名で道路のほか、流出した球磨川の橋梁の被災状況についても調査を実施しました。

国道219号(7月7日:球磨村)

国道219号(7月9日:球磨村)

国道219号(7月10日:大瀬橋付近)

打合せ状況(7月9日:球磨地域振興局)

現地調査状況(鎌瀬橋)

西瀬橋 流出箇所調査状況

側溝・路面清掃

人吉市からの要請を受け、浸水箇所の堆積土砂対策として路面清掃車・側溝清掃車を派遣し、路面清掃や排水溝清掃、排水管清掃等を実施しました。

路面清掃(7月9日:人吉市)

散水状況(7月9日:人吉市)

排水管清掃(7月13日:人吉市)

路面清掃(7月13日:人吉市)

早期復旧に向けた調査及び工事

被災地の早期復旧に向けた現地調査等を行い、被災状況と復旧方針をとりまとめて業務・工事の発注に向けた準備や工事を実施しました。

業務・工事発注に向けた資料作成

堆積土砂撤去(球磨村神瀬地区)

(3) 砂防

被災状況調査

北海道開発局及び東北・北陸・中部・中国・四国の5整備局から集まった砂防班、計18班が現地で被災状況を調査しました。

中部TECの活動状況(7月8日:熊本県五木村)

北陸TECの活動状況(7月10日:熊本県湯前町古城)

四国TECの活動状況(7月13日:熊本県八代市)

中国TECの活動状況(7月29日:熊本県球磨村)

ドローンによる現地調査

また、九州TEC-FORCE砂防班は球磨川水系川内川流域の砂防施設の被災状況を国土交通省国土技術政策総合研究所、九州地方整備局、熊本県、球磨村と合同で調査しました。

熊本県球磨村日当地区

川内川流域の砂防調査

球磨村大岩地区の砂防施設

球磨村松野地区

川辺川流域における出水直後の対応

川辺川ダム砂防事務所では7月4日の豪雨発生後、川辺川流域における被災状況を把握するため、職員及び巡視コンサルタントによる巡視体制を整え、出水2日後から土砂災害から被害を防ぐ重要な砂防施設等(34施設)の応急巡視・点検を5班体制で1週間をかけて実施しました。

その結果、砂防施設等には損傷がなく、既設砂防堰堤が土砂や流木を捕捉し、下流への被害を防いだことを確認しました。

久連子第7砂防堰堤(堰堤高14.5m、堰堤長63.8m)

約12,000m3捕捉

田口砂防堰堤(堰堤高14.5m、堰堤長120.0m)

約3,300m3捕捉

また、川辺川流域の全施設(142施設)を最大5班体制(巡視コンサル等)にて巡視・点検を行い、施設の損傷の有無、堆砂状況などについても詳細な確認を実施しました。施設に繋がる道路は至る箇所で崩壊・損傷を受けており、目視による点検が出来なかったことから、小型無人飛行機(ドローン)を用いて施設の損傷有無等の確認作業を進めました。

ドローンによる施設状況確認

ドローンを使った写真撮影

(4) 港湾

九州TEC-FORCE港湾班は近畿及び中国地方整備局の広域TEC-FORCEと連携し、八代海における漂流物調査及び回収を実施しました。漂流物の回収は、関門航路事務所所属の海洋環境整備船「がんりゅう」を使用しました。

また、八代港は土砂流出による航路等の埋没が確認されたため、迅速に応急措置を実施し、7月20日までに措置が完了しました。

船内での打合せ

船上からの漂流物調査

がんりゅうによる漂流物回収

陸上からの漂流物調査

がんりゅうによる漂流物回収

回収した漂流物