令和2年7月豪雨球磨川水害伝承記

後代に残す記録

災害対応

4.道路の応急復旧

(1) 権限代行

球磨川を渡河する橋梁流出や、八代市から人吉市間の国道219号など、豪雨による被害は甚大で広範囲におよんだことから、被災した自治体からは国による早期復旧の要望が寄せられました。

令和2年5月の道路法改正により、県道等の災害復旧事業も国が代行できるようになったため、7月20日の熊本県からの要請を受け、国土交通省(八代河川国道事務所)では権限代行により、流失した橋梁10橋を含む国道219号や熊本県道等の約100kmの災害復旧事業を、7月22日より実施しました。

この措置は改正後、県道等の災害復旧代行を初めて適用したケースです。

直轄代行の概要

  • 球磨川に架かる橋梁:10橋(深水橋、鎌瀬橋、相良橋、西瀬橋等)
  • 球磨川両岸の道路:約100km(国道219号、主要地方道人吉水俣線等)

令和2年7月豪雨における直轄権限代行

【県管理国道】1路線 約50km

自治体名 路線名 区間
熊本県 一般国道219号(鎌瀬橋含む) 八代市渡町字塘外~人吉市相良町字一丁田

【県道】7路線 約40km

自治体名 路線名 区間
熊本県 主要地方道15号 人吉水俣線(西瀬橋含む) 人吉市相良町字一丁田~人吉市矢黒町字西ノ園
球磨郡球磨村大字三ケ浦乙字小渡~球磨郡球磨村大字一勝地甲字年ノ神
主要地方道17号 坂本人吉線(坂本橋含む) 八代市坂本町荒瀬字舟迫~八代市坂本町坂本字新開
一般県道158号 中津道八代線 八代市坂本町中津道字中道~八代市古麓町字上り山
一般県道259号 小鶴原女木線(深水橋) 八代市坂本町西部は字笹尾~八代市坂本町西部ろ字上原木
一般県道272号 球磨田浦線(神瀬橋含む) 球磨郡球磨村大字神瀬甲字橋口~葦北郡芦北町大字箙瀬字和田
一般県道304号 一勝地神瀬線 球磨郡球磨村大字一勝地甲字年ノ神~葦北郡芦北町大字白石字和奈木
一般県道325号 遠原渡線(相良橋含む) 球磨郡球磨村大字三ケ浦乙字小渡~球磨郡球磨村大字渡乙字外園

【市町村道】7路線 約10km

自治体名 路線名 区間
八代市 市道 鎌瀬・瀬戸石線 八代市坂本町川嶽字鶯越 ~ 八代市坂本町川嶽字楳原
市道 瀬戸石・高田辺線 八代市坂本町川嶽字楳原 ~ 八代市坂本町川嶽字明神谷
人吉市 市道 中神大柿線(天狗橋) 人吉市中神町字大柿字池ノ口 ~ 人吉市中神町字馬場字別府
芦北町 町道 川嶽線 葦北郡芦北町大字海路字桃木平 ~ 葦北郡芦北町大字箙瀬字和田
球磨村 村道 大瀬吉松線(大瀬橋) 球磨郡球磨村大字大瀬字宮の上 ~ 葦北郡芦北町大字告字大小平
村道 松本大坂間線(松本橋) 球磨郡球磨村大字大瀬字大久保 ~ 球磨郡球磨村大字一勝地丁字下村
村道 沖鶴線(沖鶴橋) 球磨郡球磨村大字渡乙字沖鶴 ~ 球磨郡球磨村大字三ケ浦甲字助川

国道219号等災害復旧(直轄権限代行)位置図

①路体流失
一般県道中津道八代線

②路体流失
八代市道瀬戸石・高田辺線

③路体流失
芦北町道川嶽線

④土砂流入
国道219号

深水橋 一般県道小鶴原女木線

鎌瀬橋 国道219号

西瀬橋 主要地方道人吉水俣線

(2) 啓開ルートの確保

 

八代市から人吉市を結ぶ球磨川沿いの約47km(国道219号、一般県道中津道八代線等)で、災害復旧活動に必要な緊急車両の通行確保を目的とした道路啓開を実施し、8月11日にルート整備が完了しました。

また、11月から12月にかけては砂利路面にアスファルト舗装等の工事も実施しました。

国道219号等災害復旧(直轄権限代行)位置図

「道路啓開」とは、一刻も早く緊急車両が通れるようにする活動です。

県道15号(人吉水俣線)で仮アスファルト舗装を実施

実施前

実施後

実施前

実施後

県道158号(中津道八代線)でアスファルト舗装とガードレール設置

実施前

実施後

実施前

実施後

県道304号(芦北町白石地区)の啓開作業完了

被災時(令和2年7月)実施前

実施後

(3) 西瀬橋への仮橋設置

豪雨により上部工4径間のうち1径間(43m)が流失した人吉市上薩摩瀬町の西瀬橋(県道人吉水俣線)は、通学路にも指定されており、下戸越地区の住民にとって人吉市中心部にアクセスする重要な生活道路です。

そのため応急組立橋を活用した仮橋を早急に架設し、9月4日6:30から一般車両及び歩行者の通行が可能となりました。

■西瀬橋諸元

橋長:174.0m
橋梁形式:4径間鋼単純トラス橋
建設年次:1967年(昭和42年)

西瀬橋位置図

被災状況(令和2年7月5日)

被災状況(令和2年8月18日時点)

被災直後の西瀬橋

被災前後の西瀬橋

西瀬橋の復旧状況