令和2年7月豪雨球磨川水害伝承記

後代に残す記録

復興に向けての取り組み

2.球磨川水系流域治水プロジェクト

令和2年7月豪雨で甚大な被害が発生した球磨川水系で、流域のあらゆる関係者が協働し、気候変動による水害の激甚化・頻発化に備えつつ早急な地域社会の復興に向け、まちづくりと連携したスピーディな流域治水対策を進めるため、球磨川流域治水協議会では「球磨川水系流域治水プロジェクト」をとりまとめました。

(1) 対策の概要

治水対策のプロジェクトのポイントは、球磨川流域に生きる人々にとって、球磨川そのものが「かけがえのない財産」であり、「守るべき宝」になっていることを十分踏まえ、「命と環境の両立」を目指して国、県、市町村、企業、住民など全ての関係者が協働し、以下の取り組みを実施します。

  1. ❶氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策
  2. ❷被害対象を減少させるための対策
  3. ❸被害の軽減、早期復旧・復興のための対策

また、上下流・本支川の流域全体を俯瞰して以下の手順で「流域治水」を推進し、令和2年7月豪雨からの早期復興を進めるため、各対策の早期完成を目指します。

「流域治水」施策イメージ

出典:気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会資料

球磨川水系流域治水プロジェクト ロードマップ

球磨川水系流域治水プロジェクト【まとめ】

令和2年7月豪雨では、戦後最大の洪水により甚大な被害が発生したことや人吉・球磨盆地が急峻な山々に囲まれたすり鉢状の地形となっており、複数の急流支川が流れ込み、さらに盆地の下流側が山間狭窄部となり、豪雨時には水位が上昇しやすいという流域の特徴を踏まえ、国、県、市町村等が連携し、河道掘削、堤防整備(堤防補強)、輪中堤・宅地かさ上げ、遊水地等の取り組みを集中的に実施することにより、令和2年7月洪水と同規模の洪水に対して、越水による氾濫防止※(人吉市の区間等)、家屋の浸水防止※(中流部)など、流域における浸水被害の軽減を図る。

従来から検討してきた貯留型ダム並びに再開発後の市房ダムによる洪水調節の効果を含む

具体的な対策内容については、今後の調査・検討等により変更となる場合があります。

氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策

  • 河道掘削、引堤、輪中堤・宅地かさ上げ、遊水地堤防補強等
  • 流水型ダム、市房ダム再開発 ※調査・検討に令和3年度から本格着手
  • 砂防関係施設の整備
  • 下水道等の排水施設の整備
  • 雨水貯留、雨水浸透施設整備
  • 水田の貯留機能向上
  • ため池の補強、有効活用
  • 農業水利施設の整備
  • 森林の整備・保全、治山施設の整備
  • 利水ダム等6ダムにおける事前放流等の実施、体制構築等

水田の貯留機能向上

森林の整備・保全治山施設の整備

被害対象を減少させるための対策

  • まちづくりと連携した高台への居住誘導
  • 土地利用規制・誘導(災害危険区域等)・移転促進
  • 不動産取引時の水害リスク情報提供
  • 二線堤、自然堤防の保全等

今後関係機関と連携し対策検討

二線堤の保全

高台への居住誘導(集団移転)

被害の軽減、早期復旧・復興のための対策

  • 排水門等の整備や排水機場等の耐水化
  • 避難行動、水防活動に資する基盤等の整備
  • 避難を判断するための情報伝達
  • 水害リスクの周知
  • 平時からの住民等の防災意識醸成
  • 防災活動の着実な実施・連携体制の構築
  • 地域と連携した排水活動及び訓練、施設運用 等

今後関係機関と連携し対策検討

庁舎等の浸水対策の実施

R2.7豪雨の課題を受けたタイムラインの改善