復興に向けての取り組み
3.球磨川水系緊急治水対策プロジェクト
「球磨川水系流域治水プロジェクト」で取り組むメニューのうち、再度の災害を防止する観点から、5~10年程度で実施するプロジェクトメニューについては特に「球磨川水系緊急治水対策プロジェクト」として抽出し、速やかに着手します。
事業実施にあたっては「復興計画と連携した河川事業の推進」、「河川空間の創出」、「掘削土砂の高台移転等への活用」を中心に、自治体等の関係機関と連携して相互の調整を図りながら、事業を実施していきます。
球磨川水系緊急治水対策プロジェクトの進め方
復興計画と連携した河川事業の推進
復旧復興計画や復興の取組に寄与する河川事業の推進(工程調整・連携推進)を図る
第2回球磨村復興計画策定委員会資料より抜粋
河川空間の創出
地域との共生を図りつつ、かわまちづくり事業の実施による今まで以上に良好な水辺空間が形成できるよう、推進主体との連携及び復興計画のまちづくりとの融合を図る。
人吉地区かわまちづくりイメージパース
掘削土砂の高台移転等への活用
かさ上げ等による宅地再生や、高台等の安全な場所への移転事業への掘削土の活用による復旧復興への支援を図る。
まちづくりと河川事業が連携した地盤のかさ上げによる被害防止対策
※かさ上げは掘削土を活用
(1) 対策の概要と実施計画
被災箇所の河道掘削や堤防整備、輪中堤・宅地かさ上げ、遊水地等の取り組みを集中的に実施して、令和2年7月豪雨と同規模の洪水に対して越水による氾濫防止や家屋の浸水防止といった流域における浸水被害の軽減を図ります。
具体的な対策内容については、今後の調査・検討等により変更となる場合があります。
また、令和3年出水期に向けた浸水被害箇所等の堆積土砂の撤去や堤防決壊箇所の本復旧を緊急実施します。
【令和3年度出水期まで】
- 可能な限りの堆積土砂の撤去及び堤防決壊箇所の本復旧を実施する
【第一段階】
- 堆積土砂の撤去、災害復旧工事を進めるとともに上下流バランスを考慮の上、河道掘削を最大限実施し推進を図る
- 輪中堤・宅地かさ上げをまちづくり等と連携して完成させる
- 遊水地、引堤等に必要な用地確保に着手
- 県区間においては放水路整備や河道掘削等を推進
- 流水型ダム、市房ダム再開発の調査・検討に着手し推進を図る
【第二段階】
- 遊水地(本川)を完成
- 河道掘削(拡幅部/人吉地区)と引堤完成
- 県区間堤防整備、遊水地(支川)の完成
- 引き続き流水型ダム、市房ダム再開発の推進を図る
球磨川水系緊急治水対策プロジェクトの実施計画(予定)
(2) 対策の具体的内容
❶氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策
河川区域での対策では、国管理区間における河道掘削や輪中堤・宅地かさ上げ等のほか、県管理区間における放水路や堤防の整備等を実施します。
また、集水域での対策では、水田・ため池等の活用や、排水施設や雨水貯留施設の整備等を行います。
河川区域での対策
- 河道内の堆積土砂の撤去及び新たな掘削による河道の流下能力の向上
- 堤防決壊箇所の本復旧及び護岸損傷の補修と堤防の整備強化
- 堤防間の流下断面積を増大させる引堤の整備
- 治水対策後の水位(計画高水位+余裕高さ相当)を目標とした輪中堤・宅地かさ上げ
- 洪水流量の一部を貯留し、下流のピーク流量の低減を図る遊水地の検討
- 治水と環境の両立を目指す新たな流水型ダムの調査検討
- 洪水調節機能の更なる強化を目的とした市房ダム再開発の調査検討
- 利水ダム等6ダムにおける事前放流等の実施、体制構築 等
集水域での対策
- 水田、ため池等の活用による流量低減の推進
- 河川に流れ込む水を地下に浸透させる下水道等の排水施設、雨水貯留施設の整備
- 森林の洪水緩和機能の保全や森林整備による保水力の維持向上
- 土砂災害や洪水被害を防止する砂防事業と土砂や流木の流出抑制対策 等
❷被害対象を減少させるための対策
地域及び関係機関が連携し、リスクコミュニケーションを通じてまちづくりや住まい方の誘導等による水害に強い地域づくりを推進することで、被害対象を減少させる取り組みを進めます。
氾濫域での対策
- まちづくり計画と連携した掘削土等の活用による高台への居住誘導等
- 不動産関係団体への水害リスク情報の提供と周知の協力推進
- 水害リスクを踏まえた災害危険区域等の土地利用規制やリスクの低いエリアへの誘導、移転促進
- ハザードエリアの危険度等を考慮した二線堤や自然堤防の保全等を推進
- 早期に氾濫水や内水の排除を図る排水門等の整備や排水機場等の耐水化 等
❸被害の軽減、早期復旧・復興のための対策
関係機関が連携し、住民の避難行動につながるきめ細やかな情報提供やリスクコミュニケーションを行うことで、地域の人々の「迅速かつ的確な避難」と「被害最小化」を図るため、更なる取り組みを進めます。
氾濫域での対策
- 水防備蓄倉庫の拡充など、避難行動や水防活動に資する基盤等の整備
- リスクマップやWEB版のハザードマップ等による水害リスクの周知
- 事前防災行動計画の準備等による防災活動の着実な実施と連携体制の構築
- 避難を判断するための情報伝達手段の多重化やネットワーク回線の二重化
- 防災リーダーの育成や防災教育の充実による平時からの住民等の防災意識の醸成
- 排水計画の共有等による地域と連携した排水活動及び訓練、施設運用 等
洪水情報などの緊急速報メール配信イメージ
防災教育など防災意識の醸成
NHK・八代市・八代河川国道事務所共同防災学習の様子
「洪水標識」の設置状況(人吉市九日町)