復興に向けての取り組み
4.避難・水防対策(ソフト対策)
球磨川流域の防災・減災に向けた取組を推進するために設置している「球磨川水系水防災意識社会再構築会議」において、「令和2年7月球磨川豪雨検証委員会」「球磨川流域治水協議会」で得られた課題等を踏まえ、「球磨川流域の減災に係る取組方針(R3-R7)」を策定し、防災・減災の取組を実施します。
球磨川水系水防災意識社会再構築会議 構成機関
- 八代市、人吉市、芦北町、錦町、あさぎり町、多良木町、湯前町、水上村、相良村、五木村、山江村、球磨村
- 熊本県、気象庁熊本地方気象台、国土交通省九州地方整備局
今回の取組方針で行っていく主な取組
❶避難行動、水防活動に資する基盤等の整備
- 民間施設との協定締結も含めた指定緊急避難場所の追加
- 夜間でも見えるカメラの設置 など
❷避難を判断するための情報伝達
- ネットワーク障害、停電、夜間等を想定した情報伝達手段の多重化の実施
- 既存の防災行政無線だけでなく新しい通信技術やSNS等を活用した重層的な伝達手段の検討・導入
❸水害リスクの周知
- 水位周知河川以外の河川についても想定し得る最大規模の浸水想定区域図を作成・公表
- 球磨川本川・支川についてL2対応のハザードマップ作成、全戸配布 など
❹平時からの住民等の防災意識醸成
- 要配慮者利用施設の避難確保計画作成及び施設管理者向けの説明会・訓練等の実施
- 各地区、拠点病院・要配慮者利用施設、企業等への出前講座等の実施
- 令和2年7月豪雨を踏まえた地区タイムラインの見直し・作成及び訓練
❺防災活動の着実な実施・連携体制の構築
- 令和2年7月豪雨災害を踏まえた防災計画やタイムラインの検討、作成
- 広域避難計画の策定
- 近隣市町村との広域避難の協議や協定の締結を実施
❻地域と連携した排水活動及び訓練、施設運用
- 排水作業計画の共有、訓練等での活用
- 関係機関の防災拠点となる庁舎等の施設の浸水対策の実施
今回の取組方針で目指す球磨川流域の水防災
5年間で達成すべき目標
令和2年7月豪雨を踏まえ住民一人一人が水害のリスクを認識し、観光客を含めた地域の人々の「迅速かつ的確な避難」と「被害最小化」を実現する球磨川流域を目指す。
目標達成に向けた3本柱の取り組み
- ❶住民一人一人が迅速かつ的確な避難行動を実施するための、地域毎の氾濫特性に基づく水害リスクの周知による水防災意識の啓発・醸成
- ❷防災に携わる関係者が顔を合わせる検討の場の創出・活用による、防災活動の着実な実施・連携体制の構築
- ❸洪水氾濫時における人命・社会経済への被害を最小化するための地域と連携した備えと施設・体制の整備
タイムラインの取組
❶令和2年7月球磨川豪雨災害を踏まえた水害タイムラインの改善
八代市、人吉市、球磨村で運用中の「球磨川水害タイムライン」について、令和2年7月球磨川豪雨時の災害対応状況を整理したうえで、流域自治体及び防災関係機関へのヒアリング、住民アンケート調査、球磨川水害タイムラインふりかえり会議(AAR/IP会議)により、水害タイムラインの課題抽出及び改善を実施しました。
球磨川水害タイムラインの主な課題及び改善のポイント
主な課題(抜粋) |
改善のポイント |
改善内容
行動項目と内容 |
- 危機感を持ったタイミングの差異
- 体制の前倒し
- 一押しの助言
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流域で共有した情報の活用 |
- 流域で共有した情報に基づく体制の確立
- 流域内の運用会議での共有情報を確認
- 激甚洪水になるかどうかの検討
- 激甚洪水になると予想された場合、今後の対応について自治体内で意思決定、ステージの移行を待たず早期の対応を実施
- 流域で共有した情報の活用
- 流域内の運用会議(Web)への参加
- メーリングリストによる流域情報の共有
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自治体内部の意思決定プロセスと役割分担の見直し |
- 自治体内部の情報共情報共有
- 流域内の運用会議の情報、災害対策本部の情報を自治体内へ周知、共有
- 情報・現象の監視
- 専門に監視する職員を配置
- 府県気象情報の監視
- 雨雲の動き、気象庁HPの危険度分布、河川水位等の監視
- 警察や報道機関への情報提供
- 警察・マスコミ等へ対応の準備【専門要員の配置】
- 住民とのコミュニケーション
- 住民からの通報・問合せ対応の準備【専門要員の配置】
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- 夜間・強雨時の避難行動を避けるための早めの避難情報発信
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夜間・就寝などの生活時間を考慮したタイムラインの運用 |
- 夜間避難への対応(避難時間帯が夜間となる可能性がある場合)
- 高齢者等避難の早期発表の検討
- 早期に住民へ避難呼びかけを実施
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地域コミュニティへの協力依頼 |
- 地域コミュニティへの協力依頼
- 避難に関する情報を地域コミュニティへ提供(共有)
- 高齢者、要支援者への注意喚起を依頼
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❷令和2年7月球磨川豪雨災害を踏まえた流域タイムラインの作成
令和3年5月19日に、球磨川流域の自治体や関係機関の流域全体での危機感共有や防災行動に対する意思決定支援を目的とした「球磨川流域タイムライン」を新たに作成しました。
各種タイムラインのイメージ
流域タイムラインの対応の流れ
流域タイムラインの主な対応行動
段階 |
流域自治体(市町村) |
熊本県河川課、県南広域本部球磨地域振興局、県南広域本部芦北地域振興局、市房ダム管理所 |
熊本地方気象台、八代河川国道事務所、
川辺川ダム砂防事務所 |
流域注意段階 |
- 関係機関からの情報共有(気象台・河川管理者・ダム管理者)
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- 気象情報の収集
- 河川実績水位情報提供
- ダムの事前放流(検討・実施)
- 関係機関への情報提供
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- 気象情報の収集
- 河川水位予測の実施
- 関係機関への情報提供
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必要に応じて、テレビ会議により情報共有 流域タイムライン立ち上げの確認
(共有すべき情報のポイント)
- 降雨予測 前期降雨を踏まえた状況の共有
- 防災上留意すべき点の確認
- 各自治体の対応状況の共有
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流域警戒段階 |
- 降雨予測
- 災害の危機感に関する庁内での情報共有
- 初動体制の準備
- 避難に関する情報の予告的発出
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必要に応じて、テレビ会議による情報共有 気象・河川情報の継続的な情報共有
(共有すべき情報のポイント)
- 前回の情報共有時からの状況変化
- 非常対応モードへの移行の可能性
- 各自治体の対応状況の共有(継続)
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これ以降は、各自治体や各機関の防災計画(または水害タイムライン)に従ってそれぞれで対応 |